長期保管でペグが錆びてしまった
ペグの各部位にサビが出てしまった状態です。ジャンクギター修理時によく見かける姿ですが、普通の使い方、保管方法ならここまでひどくならないと思います。倉庫中か、雨ざらしだったのか、廃棄されていたのか… 真相はわかりません。見た目は悪いですが再生は可能です。

これまでに、ひどい姿になっていても固着して動かなくなったものはありませんでした。密閉式のペグはギア部にグリスが封入されているので、湿気から保護されていたのだと思います。水没したと推測されるギターの、ボロボロになったペグでもスッと動いたのには驚きました。機能的には問題がなく再利用ができます。

一方、密閉式ではないペグや、クラシックギターのようにギアや軸がむき出しのものは、接触部分が固着して固いことがあります。力任せに回そうとすると、劣化した樹脂製のペグボタンが根元から粉砕することがあります。固着した部分にCRC556などの浸透油をかけて、徐々にまわしてみるほうが良いです。
サビ取りの方法
パーツのサビ取りは次の手順で行います。
- さびた部分を紙やすりやリューターのワイヤーバフで削り取る。
- コンパウンド細目で磨く
- コンパウンド中目で磨く
- コンパウンド極細で磨く
- 磨いた部分に塗装や油膜を作りサビから保護する
サビを削り取ったら、荒れた表面を①ヤスリ~④コンパウンドで滑らかに整えます。きれいな状態に戻ると思いますが、サビが取れたところは地肌が出ていますので、時間がたつとすぐにサビます。再発を抑えるために塗装をするか、ワックスなどで油膜を作っておきます。

この作業に技術は必要ありませんが時間がかかります。あきらめなければキレイになります。

ここまでしなくとも「金属磨きピカール」単品で簡単にサビが取れてしまうことも多いです。ウエスやリューターのバフに少量つけて磨きます。ピカールもコンパウンドと同じように微細な粒子で、部品表面を削る性質の品です。部位によっては塗装やメッキをはぎ取ってしますので、やりすぎは禁物です。金メッキ、色付きの部品にはおすすめできません。

削り取る方法の他には、様々なケミカル製品を利用する方法もあります。化学反応でサビを取るので、金属を傷めずに防錆できるのが特徴です。反応後は水洗いして、防錆浸透剤を使う必要があります。(サビアウト、さび落とし、ラストオフスーパー、ネジザウルスリキッド等々)
また安く済ませたいなら、おなじみサンポールを使う方法もあります。私はよく使っている方法ですが、準備が少し面倒なうえ、取り扱い上の危険性と健康障害へのリスクは高めです。マネをしてはいけません。
このトイレ用洗剤は約9.5%の塩酸なので、部品を浸けておくと浅いサビ程度なら、溶かして剥離させることができます。深いサビは無理です。忘れてはならないのは塩酸のターゲットはサビだけでなく、部品全体も溶かそうとしているということです。長時間つけすぎると健全な部位も変形、変質させ、強度を下げる事になるかもしれません。
また、塩酸につけた後は、しっかりと水洗いをしたのちにアルカリ性の溶液につけて中和作業をしないと、短時間で元の状態よりひどいサビが発生します。
さらに注意しなければならないのは取扱いです。部品を浸けている時は喉や鼻に刺激があります。通気のよい屋外でなければ危ないです。また、誤ってアルカリ性のものと混ぜてしまうと有害な塩素ガスが発生します。「混ぜるな危険」の状態です。もちろんトイレ用洗剤の製造元では、このような用途外の使用をしないように注意喚起をしています。したがって、記事としては書きましたが、このように手間がかかるうえ、リスクが高いものは、マネをせずに動画でお楽しみ下さい。
必要な工具など
◎紙やすり
△ワイヤーバフ付きのリューター
◎コンパウンド
△金属磨きピカール
△サビ取用 ケミカル製品
×塩酸のトイレ用洗剤、中性洗剤、中和用のアルカリ性洗剤
(記号の意味)
◎必要 〇状況が変われば追加で必要 △あれば便利

注意点
・ヤスリやワイヤ―バフでこするとメッキや塗装が剥がれます。
・コンパウンドやピカールには溶剤が含まれています。換気の良い場所で使いましょう。
・ケミカル製品を扱うときには換気を行い、ビニールやゴム製の染み込まない手袋を使いましょう。
・リューターにバフのビットを付けて磨く時は、コンパウンドやピカールが周囲に飛び散ります。
保護メガネを着用しましょう。また、回転部へ指を巻き込まれないようにしましょう。
・塩酸磨きは危険なのでしないで下さい。酸とアルカリを混ぜてはいけません。「塩素発生 混ぜるな危険」の注意書きや、メーカーホームページを必ず読み用途外使用はしないようにしましょう。



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